世界で一番有名な便器!現代アートの父マルセル・デュシャンの展覧会

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東京

こんにちは。アート好きな旅行雑誌編集者のダミダです!

12月9日まで東京国立博物館で「マルセル・デュシャンと日本美術展」が開催していました。

デュシャンといえば、現代アートの父とも評されている20世紀の美術界における最重要人物

そんな彼の企画展は、現代アート好きとしては見逃せない!

ということで、展覧会の見所と東京国立博物館の魅力を振り返ります!

展覧会のキャッチコピーがかっこいいので、ここで引用。

美術デュシャン
見るんじゃない。
考えるんだ。

マルセル・デュシャンについて

マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)

フランス生まれだが、後に作品が認められたアメリカ人に帰化。

もともとは、画家としてそのキャリアをスタートしたが、

レディ・メイドと称した既製品を用いた作品群で注目を浴び、一躍有名に。

20世紀のアート界において多大な影響を与えた。

「これってアートなの?」という疑問に思う作品のルーツは彼の作品なのです。

何がすごいかと言うと、それまでのアートという概念をすべて覆した作品を発表したこと。

アートの概念を変えた人物の企画展なのです!

「マルセル・デュシャンと日本美術」のみどころ

この展覧会は大きく分けると2部の構成に分かれています。

第1部「デュシャン 人と作品」展

こちらは、フィラデルフィア美術館の国際巡回展(原題:The Essential Duchamp)。

同館デュシャン・コレクションのこれだけ大規模な巡回展は初の機会だそうです!

画家として2次元で試行錯誤していた初期の作品から、名声を確立した後の晩年の作品まで、

幅広くデュシャン「芸術の価値」とは何かを問いづけたアプローチを感じられますが、

やはり彼の代表作《泉》を抜きにこの展覧会は語れません。

デュシャンの代表作《泉》

こちらがデュシャンの代表作《泉》…。

そうです、便器です。

もちろん制作された当初は批判が巻き起こり、

どんな作品でも出展OKな芸術協会の展示会に出展を拒否されている。

この作品は今まで「オリジナルをハンドメイドな作品=芸術作品」という価値観を、

「芸術作品=芸術作品と定義されたモノ」に塗り替えたのです。

そう、それはまさにデュシャンが言ったこの一言につきる彼の挑戦でした。

Can Works be Made Which are Not ‘Of art’?
「芸術」でないような作品をつくることができようか

もはや日常にありふれたモノですら、意味づけられ、その本来の目的から切り離されれば、

真の芸術作品たりうると彼は考えたのです。

この作品が1917年発表されて、100年以上が経った現在でも、

この便器は大事にショーケースに入れられ、ありがたく鑑賞されているのです。

ここで展示されている《泉》はフィラデルフィア美術館から借りてきたものですが、

実はこの作品オリジナルは処分されたようで、現存している数点は後に複製されたもの。

このあたりも何だかデュシャンらしいのかなと。

なおこの他にもオリジナルではない作品の展示がありまして、

《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》(通称《大ガラス》)は、

東京大学駒場博物館所蔵の複製で、《大ガラス》複製(東京版)と名付けられています。

こちらはオリジナルは運搬中の事故でガラスが割れているのですが、

そのことすらデュシャンは、

「ガラスにひびが入ったおかげで、何倍も良い作品になった」

と喜んだそうです。

まさに「観念の芸術」と呼べる作品。

感じさえすれば、それもまたアートということですかね。

第2部「デュシャンの向こうに日本がみえる。」展

こちらは、東京国立博物館の日本美術コレクションで、

国宝や重要文化財を含む24作品で構成されています。

「美」に対する価値観の変革に挑み続けたデュシャンの芸術作品と

もともと西洋とは異なる価値観の上に成り立った日本美術との間にみられる

似ている点や重なる点を考察するという企画展です。

例えば、《竹一重切花入 銘 園城寺》は千利休作と伝えられる花入です。

職人が作った精巧な器ではなく、普通の竹を切っただけのモノで花入れを作ったという点で、

デュシャンのレディメイドとの共通点があるのではと考察されています。

また浮世絵におけるリアリズムの捉え方やオリジナルとコピーに関しての捉え方など、

思わず、「なるほどな」と思わせるようなまとめ方がなされています。

ひとつの作品が持つ意味と、さまざまな作品をまとめて、比較することで感じられる意味。

素敵な企画展は、ただ絵が漠然と並べられているだけでなく、

企画自体にメッセージがあるなと改めて感じました。

企画展の良しあしは、そのテーマ性

本当は常設展の魅力や、周辺の観光要素もお伝えしたかったのですが、

だいぶ長くなってしまったので、それは別の記事にてお伝えします!

最後まで読んで頂いてありがとうございました。