森美術館の15周年を記念した企画展「カタストロフと美術のちから展」が開催中です。
この企画展のテーマはカタストロフ(大惨事)。
震災などの苦境はアートの源泉になることもありますが、その取扱いは難しく、
福島県に設置されたヤノベケンジ作《サン・チャイルド》は撤去という形になってしまいました。
兵庫県出身のダミダも阪神淡路大震災で被災した経験があり、誰しもが直面しうるカタストロフ。
それにどう向き合うのか、アートのちからが感じられる企画展を紹介させて頂きます!
Contents
森美術館について
六本木ヒルズ森タワーの53階にある美術館。
地上約230mの高所にあり、建物内展示空間としては日本最高所です!
展示作品は基本的には、企画展ごとに変わり、現代アート中心の構成。
「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル(2017-2018)」など、
時代の最先端で話題を集める気鋭の作品展示をすることで人気を集める美術館です。
また、美術館の入館料金には、「東京シティビュー」の入館料が含まれています。
都内でも有数の高さ、そしてその眺望を誇る施設です!
森美術館は20時まで開館しているので、夜景もばっちり楽しめます。
カタストロフと美術のちから展について
東日本大震災やアメリカ同時多発テロなど世界中で発生するカタストロフ。
個人の力が無力だとさえ思えるような大災害を前にして、
芸術家がどのようにしてその事象と向き合い、そして作品に投影したかがテーマな企画展。
社会の矛盾を問いかける作品や個人的喪失を表す作品など、様々な作品が並びます。
重いテーマが各となる企画展ですが、負の感情に寄りすぎない展示となっており、
負を正に転ずる力学としての「美術のちから」について注目し、
その可能性を問いかけます。企画展HPより
というまさに“美術のちから“を感じさせる企画展です。
見所となる作品について
ジョン・レノン&オノ・ヨーコ《WAR IS OVER》
※こちらの作品は美術館外にあるので、無料で鑑賞できます。
ベトナム戦争で混迷する1969年の12月にジョン・レノンとオノ・ヨーコが掲げた
WAR IS OVER!
IF YOU WANT IT
という世界11カ国で展開した広告の言葉です。
名曲「Happy Xmas (War Is Over)」のタイトルにもなっています。
発表された当初からこのデザインが使われています。
最下段の言葉のみ、発表当初(Happy Christmas From John & Yoko)から
現在のもの(Love and Peace From John & Yoko)に変更されています。
オノ・ヨーコは、9・11の際にもイマジンの一節を新聞の一面広告に掲載しています。
オノ・ヨーコ《色を加えるペインティング(難民船)》
こちらもオノ・ヨーコの作品。
1961年からはじまった「色を加えるペインティング」シリーズの作品。
参加型として、観客が色や言葉を書き入れることで絶えず変化していく作品となっています。
個人個人の力の集まりや、常に移ろいで行く世界が作品を通して表現されています。
ジョルジュ・ルース《星は空に輝いて》
作者のジョルジュ・ルースは、廃墟の中にインスタレーションを設置し、
空間の特性を活かしながら、錯視的効果を用いて独特の世界感を表現するアーティスト。
日本とのつながりも深く、阪神淡路大震災や東日本大震災の被災地で作品展示を行っている。
この作品も錯視効果を使い、ある地点に立つと星型が表れる仕掛け。
被災したカフェに希望の星を浮かび上がらせるというコンセプトで制作されています。
写真でみると全て平面に見えてしまいますが、その場にいると不思議な感覚に陥ります。
平川恒太《ブラックカラータイマー》
108個の電波時計に事故後の福島第一原発にて従事した作業員の肖像が描かれている作品。
描けれていると言っても黒い時計に黒い顔料で描かれているので、近づかないと見えてきません。
描かれた肖像画と静かに時を刻む時計。
そこには、不思議な時間が流れています。
そのほかの作品
この他にも考えさせらる作品がたくさん!
せっかくですので、タイトルと画像のみで一部紹介させて頂きます。
ミロスワフ・バウカ《石鹸の通路》
堀尾貞治《震災風景》シリーズ
スウーン《メデイア》
他にも紹介したい作品があるのですが、ぜひ現地でご覧になってください!
ショップ情報
展示会カタログは、予約受付中ということでした。注文すれば、12月上旬発送予定とのこと。
鑑賞者参加型作品やインスタレーションなど作品展示開始後でないと撮れない絵があるためか、
会期序盤は予約販売としている展覧会が最近多い気がします。
展覧会カタログってまず、帰りにカフェ入って、もう一度作品を反芻するために開いたり、
作品の解説読んで価値観を新たにしたりと鑑賞直後が一番読むタイミングだと思うので、
これって販売機会をロスしてる気が…。
ちなみにダミダは欲しければ予約販売でも買う、欲しくなければあっても買わない派です(笑)
ユニークだなと思ったのが、災害等に関わる展覧会なので、でしょうが、軍手が売っていたこと!
ダミダは最近職場でたまに力仕事をするので、購入してみました。
以上、「カタストロフと美術のちから展」についてでした。
最後にこの企画展内の高橋雅子作品の言葉で記事を締めくくらせて頂きます。
アートに何ができるか?
ではなく
アートで何をするか
である。
カタストロフと美術のちから展
森美術館
会期:2018年10月6日(土)~ 2019月1年20日(日)
時間:10:00~22:00(最終入場は閉館の30分前まで)
※火曜のみ17:00まで(最終入館 16:30)
休館:火・水曜日
料金:大人1800円、学生(高校・大学生)1200円、子供(4歳~中学生)600円
HP:https://www.mori.art.museum/